父のナイフ

仕事の関係なのか、父は自分でナイフを作っていた。どうやら材料から仕入れていたようだが今では詳細ははっきり判らない。
父がいなくなった後のこと。
ダイニングテーブルの父専用の引き出しの横に置いてあったナイフを弟に譲ろうかと思ったのだが、父は左利きで、弟は右利きなので左利き用の刃の研ぎ方のしてあるこのナイフは使えない、といいそのままになっていた。

骨付きローストビーフの骨はジュディーとさくらのおやつになるのだが、少し大きすぎたのでカットしようと思った。しかし、骨をカットできるようなナイフは無いだろうな、と思った時に父のそのナイフの存在を思い出した。
試しに使ってみることに。幸い、私は両ききなので左手でナイフを使うことは可能だ。

父の作ったナイフは刃が大きいし、重量がある。その重さだけで骨が折れるのかもしれないというほどだ。
思ったとおり、軽い力でも骨は二つに切れ目が入った。手で折ると、多少力は必要だったものの、骨は見事二つに。
それにしても、何の目的でこのナイフを作ったのだろうか。。。。。。。。
と、折れた骨を眺めていたら

「クゥーン」とな・・・・・

臭いをかぎつけたジュディーとさくらが足元で「頂戴」と待っていた。
ったく。。。

ただ、ナイフの刃が欠けてしまったら、研いだりはできないだろう。
それに、刃のケースも鉄製なのだが、少し錆びが出ている。私には綺麗に錆を落とすことはできないし、作り直すこともできない。

私には扱いの難しいこのナイフでも、
なんとなく、父らしさがある。
大切に使わないといけないな。

今日の一枚。
桜も終ったけれど、桜のピンクや、菜の花の黄色は黒いジュディーには似合う。

 

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