母が旅行から帰ってきた。



父がその旅行に参加したのは、発病してからだった。皆で父を囲み和を作り、励ましあい、そして歌の苦手な父が歌を披露した。そして、その時の一生懸命な姿はいつまでも皆の心に残っていた。

その旅行で一人が、父が最後に歌った歌を皆で歌おう、と言った。そして、一人が歌い始めた瞬間、仲間の男性達全員が泣いたという。

あの時のあの父の姿を思い出し、そして、最後まで頑張ったホスピスでの姿を思い出し、泣かずにはいられなかったと。

しばらくその旅行の幹事をしていて、病に倒れる前の旅行まで行き先など全て父が決めていた。皆が楽しめるようにとカタログを集め、一人で下見にも行った父に感謝をしていると言っていたそうだ。

 

その旅行は今年で20年目になる。最初の頃は男性だけの集まりだったらしいが、いつの間にか夫婦で行く旅行になり、そして一人の方がご主人を亡くされた。しかし、奥様は皆に誘われその旅行に参加し続けている。母も、何度も止めようと思ったが心の和む人たちとの旅行は何より楽しいと言っている。母は来年もその旅行に参加するだろう。そして、20年が30年と続く集まりになっていくんだろう。

 

父がいなくなって12月で4年になる。

この日記、guest bookも5年以上になるだろうか。

ここまで続いたのも、いい出会いがあったからだ。

そんな人たちとの出会いと、父の仲間達が重なる。

悲しみを共に共有してくれる、忘れずにいてくれる、

そういう仲間が悲しみを薄めてくれるんじゃないだろうか。

忘れられなくてもいい。

消し去ることができなくてもいい。

時々、薄めてくれる仲間がいればそれでいい・・・・のかもしれない。



最後に、父の姿に涙してくれた方達に感謝したいと思う。

ありがとう。

 

それから、恭平のことをいつも思い出させてくれるほど恭平にそっくりのさくらにも

感謝しよう。

アホみたいな寝相でも愛してるぞ~

 

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