不思議な話

ある日、母が留守の日に母の友人という人が訪ねてきた。この日は母は以前から予定が入っていると言っていたのを覚える。しかし玄関先のその人は「今日はお母さんと約束があると思ってきたんですが、いないですか?」と言う。
そして延々と説明が始まったのだが、なが~い説明を要約すると
「以前喫茶店で偶然会って、お茶でもしようと話をした。数日後、電話が鳴ったので出て、その人と今日、食事をする約束をした。その電話の相手は多分私の母だろう、と思って今日うちを訪ねてきた」
ということらしい。
私は母の予定を話すとその人は、「じゃ、違う○○さん(私の苗字)ね」と言い慌てて帰ろうとした。一応母に伝えておくと言ったのだが、とにかく慌てて帰って行ったので名前を聞くこともできなかった。

大体、私の苗字はこの辺りにそう多くは無い。違う○○さん、と言ったのだが同姓のお友達がいたということか?
それから、電話が鳴って出たときに多分私の母だろうと思って話をしたというのだが、多分、というだけで食事の約束も出来るのか?
疑問は残る。

母が帰ってきたときそのことを説明すると
そんな人と会った記憶がない、という。じゃ、あの人は誰?
うちを知っているのだから、友達であることは間違いないが、思い当たる節はないらしい。
どんな人だと聞くので「とてもセンスのいい人だった」と答えると、母は「私も人からセンスがいいと言われるが、私みたいか?」と聞く。笑ってしまったのがいけなかった。母は私を責め始めた。
名前も聞かないし、詳しい説明も聞かないし、お前が悪い、と言い出したのだ。
ついでに、センスが悪いと思っているのか?と責め出した。
ガメラはどこまで行ってもガメラだ。

宣言しておくが、母はセンスがいいとは言えない。お世辞を真に受ける単純な性格をしてるだけである。
しかし、私は苦しい説明を強いられた。「お母さんはセンスがいいよ。ただ、派手なだけだよ」と。。。母は不思議そうな表情で納得をしたのだが「派手とはどういう意味だ?」と突っ込んでくる。
どちらにしろ、そんなことはどうでもいい。

一体あの人は誰なのか?
その後電話もないし、尋ねても来ない。
誰だ? 誰だったんだ?

もう一つ心配がある。
その人は、この日母ではない人と食事の約束をしている。その人は待ちぼうけを食らっていないだろうか? いや、多分玄関で「来ないわね~。あの電話で約束した日って、今日だったかしら?」と悩んでいるに違いない。

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